熱狂的なファンを獲得している漫画家・大橋裕之。彼が2005年に自費出版にて発表し、2009年に太田出版から刊行された漫画「音楽と漫画」に収録されている「音楽」がアニメーションとして映画化されました。その名も映画『音楽』。
この作品、プロデューサーはテレビドラマ『このマンガがすごい』や『山田孝之のカンヌ映画祭』の監督として知られる松江哲明が務めます。大手アニメ制作会社は一切入れず、クラウドファンディングで制作資金を集め、7年も費やし完成しました。
監督の岩井澤健治と松江哲明の雑談から生まれたという本作は、岩井澤監督が全て手書きの上、作画枚数40,000枚超という驚異的な数字を監督自身でこなしました。今回は、そんな作り手の思い入れたっぷりの映画『音楽』を紹介していきます!
(C)大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン
原作者・大橋裕之と原作「音楽と漫画」とは?
原作者・大橋裕之は1980年生まれ。2005年から自費出版で『謎漫画作品集』を出版し活動を始めます。
徐々にその人気は高まり、2007年音楽雑誌『indies issue』にて1ページ漫画が掲載され、その後も『QuickJapan』でメジャーデビューを果たします。
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続々と作品を発表していき、2009年に太田出版から刊行された「音楽と漫画」に収録された「音楽」が本作の原作となっています。その独特な絵のタッチに人気が集まり、業界内でも多くのファンを獲得。
一見、下書きのような作風がかえって味のある絵柄となっていて、その内容も素晴らく一度読んでしまうと病みつきになります。まさにオンリーワンの漫画家の一人です。
また、2016年からは俳優としても活動し、映画『あなたを待っています』で映画初出演にして初主演を務めています。
映画『音楽』あらすじ
楽器を触ったこともない不良学生の研二、太田、朝倉たち。彼らは思いつきでバンドを組むことになります。何も知らない彼らがロックフェスへ出場を目指すのですが……。
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映画『音楽』声の出演が魅力的!
映画『音楽』の登場人物と声の出演を紹介します。
研二/坂本慎太郎
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突然、バンドを組むこと提案する「古武術」のメンバー・研二に坂本慎太郎。
1967年生まれ、大阪府出身。1989年より、ロックバンド「ゆらゆら帝国」のボーカム&ギターとして活動開始。2011年にバンドが解散すると、ソロ活動を始めます。「ゆらゆら帝国」時代からアートワークを務め、現在も他のアーティストへのアートワークや楽曲提供を行っています。
亜矢/駒井蓮
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研二の同級生の亜矢に駒井蓮。
2000年生まれ、青森県出身。現在は慶応義塾大学に通いながら、女優活動をしています。テレビドラマ、映画、CMなどで活躍中。
太田/前野朋哉
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バンド「古武術」のメンバー・太田に前野朋哉。
1986年生まれ、岡山県出身。大阪芸術大学で映像を学び、監督、脚本、出演をしていました。連続テレビ小説『わろてんか』やauの「三太郎」CMなどに出演し話題に。
テレビドラマ、映画など多数出演。2019年公開の映画『魔法少年☆ワイルドバージン』では主演を務め、朝倉役の芹澤興人と共演しています。
朝倉/芹澤興人
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バンド「古武術」のメンバー・朝倉に芹澤興人。
1980年生まれ、静岡県出身。主に映画を中心に活動。2009年に主演した映画『最低』ではTAMA NEW WAVEでベスト男優賞を受賞。メジャー作品のみならずインディーズの作品にも幅広く出演しバイプレーヤーとして活躍しています。
最低ははAmazonで配信中!(R15+作品となっております)
森田/平岩紙
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バンド「古美術」のメンバー・森田に平岩紙。
1979年生まれ、大阪府出身。松尾スズキが主宰する「大人計画」所属。宮藤官九郎の脚本作品にはたびたび出演しています。その中でも、テレビドラマ『木更津キャッツアイ』での好演で注目されることに。
2011年にはテレビアニメ『元気!!江古田ちゃん』で江古田ちゃん役に抜擢され声優に初挑戦しました。
大場/竹中直人
(C)大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン
研二を敵視する丸竹工業の不良・大場には竹中直人。
1956年生まれ、神奈川県出身。大学在学中に、バラエティ番組『ぎんざNOW!』の素人コメディアン道場にてチャンピオンに輝きます。その後もお笑い番組などに素人ながら出演し注目されることに。
卒業後は、俳優を目指し劇団青年団に入団。その後もコメディアンとして活動しながら、俳優としても映画やテレビドラマに出演。映画監督としての活動もあり、マルチに活躍しています。
??/岡本靖幸
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今回、どんな役で登場するかは秘密ですが、岡村靖幸が声優として参加しています。
1965年生まれ、兵庫県出身。最初は作曲家としてデビューしましたが、ダンスを見初められたことからアーティストしても活動を開始。以後、多くのアーティストとのコラボも実現し、影響も与えています。現在も精力的にライブ活動など行っています。
岩井澤健治監督とは?
1981年生まれ。高校卒業後、石井輝男監督に師事します。実写映画の現場や映像制作をこなしつつ、その傍らでアニメーション制作も始めます。
「音楽」先日アフレコ収録行いまして、いよいよ完成に向けてのカウントダウンに入っています。動画も1枚1枚塗ってます。 pic.twitter.com/8UGiy7cUxv
— 岩井澤 健治/KENJI IWAISAWA (@iwaityawa) March 15, 2019
2008年に初のアニメーション作品である『福来町、トンネル路地の男』を監督。以後、短編作品を作り続け、本作を自主制作にて完成させました。
主題歌はドレスコーズが担当!
映画『音楽』の主題歌をドレスコーズが担当することに。
(C)大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン
本作のための書き下ろしの新曲「ピーター・アイヴァース」に決定しました。ドレスコーズ・志摩遼平は大橋裕之の原作のファンでもあるので、映画化を楽しみにしていたとのこと。オファーは大橋からによるものだったので返事は即答だったそうです。
映画『音楽』はここがスゴイぞ!
映画『音楽』は、これまでにないようなアニメーション映画に仕上がりました。
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特に、クライマックスシーンをよりリアルに描くため、実際に野外ステージを組みライブを敢行したほどの徹底ぶりです。加えて、実写の動きをトレースするというロストスコープと手法を採用することにより、よりリアルな動きを再現することに成功。
その甲斐もあって、第43回オタワ国際アニメーション映画祭にて長編コンペティション部門のグランプリに輝きました。受賞時のコメントは以下の通りです。
(C)大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン
「登場人物の多彩な魅力を損なうことがない、そぎ落されたストーリー手リングが勝利。カットの完璧なタイミング、デザインの簡潔性、アニメーションというメディアに対する喜びに満ちた祝辞であることに特に感銘と受けた」と。
(2019年12月現在の情報です。詳しい情報は公式サイトでご確認ください。)