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「デッドストック 未知への挑戦」Jホラーの名手が手掛ける”ガチ”ホラードラマ!

昨今、テレビからホラー番組が減少し続けていることを皆さんはご存知でしょうか?

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

クレームが多い、視聴率が振るわないなど、様々な要因から減少して行くホラー番組。そんな中で、Jホラーの第一線を走り続けるクリエイターが手掛けた”ガチ”ホラーのオリジナルドラマがあったのです。

本コラムでは、そのドラマ「デッドストック 未知への挑戦」をご紹介したいと思います。

テレビ東京旧社屋に残された”忌まわしき”お蔵入り映像の数々、その真実を追え!

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

まずは本作の簡単な概要をご紹介します。

本作の舞台となるのは、テレビ東京の旧社屋。移転が決まり、新社屋が建設された事で数々の備品や資料が移設されていく中、膨大な保管映像の選別を命じられたAD常田(村上虹郎)と二階堂(早見あかり)、そして佐山の三名は、未確認の素材テープを一つづつ再生していく事になる。

しかし、大量のテープの中には、”訳あり”、”曰く付き”のテープ達が無数に眠っていて・・・・。

VHS風の映像を逆再生する演出が印象的なOPからもわかるように本作のキーアイテムとなるのは大量のビデオテープ達。それぞれに奇々怪界な現象が収められたテープが各話毎に登場し、その真相を追うべく、常田と二階堂が奔走するのがお決まりの展開となっています。

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

VHSと言えば、Jホラー黎明期においては大きな意味を持つアイテムでした。言わずと知れたあの映画、「リング」に登場する”呪いのビデオ”です。「リング」では、奇怪な映像が収められた”呪いのビデオ”によって、次々に人々が呪い殺されていき、主人公である浅川、高山の両名もその怪異に触れた事で、生き残るべくその謎を解き明かして行くという展開になっていますが、本作「デッドストック 未知への挑戦」では、早見あかり扮する二階堂が「テレビ番組」のネタになるのではないかと目を付ける事が物語を動かす推進力になって行くのです。

しかし、そもそも未確認のお蔵入りテープになっているということは当然、触れたら”ヤバい”出来事ばかりが収められているから。当時の製作陣を襲った不可思議な不幸や、決して触れてはならない人間の闇が暴かれていく展開には毎話毎話テレビの前で震撼させられます。

演出・脚本には「怪談新耳袋シリーズ」で知られる”心霊ホラー”の名手、三宅隆太などが参加しており、Jホラーブーム衰退の裏で脈々と進化を続けていた恐怖演出の数々を惜しみなく披露しています。

中でもとりわけ注目して頂きたいのは第二話。生き人形というポピュラーな怪異を扱いながらも、悲しく恐ろしいストーリーで観客を引き込んで行く手腕の巧みさは、Jホラー最高傑作との呼び声高い「仄暗い水の底から」の喉元にまで迫る程の高い完成度を誇っています。

凡百の模倣作品には決して辿り着けない、本職の作り手達だからこそ出来る計算された恐怖演出に注目です!!

VHSは何故怖い?ホラーとビデオ、隠された親和性を紐解こう!

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

本作のキモはなんと言っても、毎話登場するVHS映像の気味の悪さ。画質の荒い不鮮明な映像の中で展開される恐怖シーンの数々が視聴者の関心をグッと引き寄せるからこそ、その後の謎解きパートが盛り上がって行くのです。

本コラムの序文でも、現在ではテレビのホラー番組は減少していると語りましたが、その要因としては高繊細な映像媒体の普及と映像編集技術の向上が大きく関わっています。

早い話が、「綺麗な映像が撮れるようになったので、想像の余地が無くなった」のです。

思い出して見て下さい。VHSで見る映像は皆、細部がボヤけていたり、画素数の少なさから潰れたようなのっぺりした色彩になりがちですよね。そうした不鮮明さ、ハッキリとは見えない不便さがVHSとホラーの親和性を支えていた重要なファクターだったのです。

人間とは、想像する生き物です。何とは無しに雲を見上げていても、そこに何か知っている物や概念のシルエットを見出したり、よりホラーに近いテイストで言えば、壁のシミが人の顔に見えて不気味に感じてしまった事が誰しも一度はあるのではないでしょうか?

形容出来ないもの、理に落とせないものをどうにかイメージ化しようとする事で、そこにある筈のない怪異の姿を重ねてしまう。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とはよく言ったもので、現代の鮮明な映像技術では枯れ尾花を幽霊に見間違える事が出来なくなってしまったのです。

更に言えば映像や写真に潜む怖さとは、”写り込んで”しまう事の怖さでした。

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

ビデオ映像も写真も、元々は現実世界をレンズを通して切り取り、平面上に同じように再現してみせる技術に他なりませんでした。どこからどこまでを写すのかという風に領域をコントロールする事は出来ても、切り取る世界そのものをコントロールする事は出来なかったのです。

だからこそ、そこに否応無くイレギュラーが発生する余地がある。知らず知らずに写ってしまった何か、撮ってしまった何かが存在し得たのです。

人々はそうした、メディアにたまたま”混じり込んで”しまった物を見る事で、現実世界の裏側にある未知の領域を感じて恐怖を抱いて来たのですね。

しかし、現代ではCGなどの発達によってそうしたイレギュラーを人為的に簡単に演出出来ます。専門的な知識など何一つ必要としません。スマートフォン一つあれば、誰でも簡単に心霊の姿を捉える事が出来てしまうのです。

デッドストック~未知への挑戦~(C)「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

そんな風に、世界を切り取りながらも現実とはまるで違う姿に写っている(加工アプリでの自撮りなどが顕著ですね)という状態を映画や写真で日常的に触れている我々にとっては、たまたま写り込んでしまった何かなど、誰かが作為的に作り上げた偽物として簡単に処理出来てしまうのです。

そうした複合的な要因によって、ホラー番組は減少せざるを得なくなったのです。

そんな時代に、「過去の映像資料」という設定を用いてVHS映像を演出に活用するアイデアは極めて秀逸と言えます。VHSの荒い画質の中では、映り込む様々なシルエットが観客の想像と恐怖を引き立てるのですね。

(2019年9月現在の情報です。詳しい情報は公式サイトでご確認ください。)