大ヒットアニメ映画の「君の名は」で広く名の知れるようになった新海誠監督。
3年ぶりの待望の新作となる「天気の子」が2019年7月19日(金)より劇場公開されます。
ストーリーはもちろん、その実写のようなアニメで新海監督の映画はどれも人気が高く、初期作品の頃から注目を浴びていました。
そんな新海誠監督の作品の見どころと、2本を今回はご紹介します。
©2019「天気の子」製作委員会
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新海作品が大人気な理由とは?
(C) 2016「君の名は。」製作委員会
美しい描写の数々
もともとゲーム会社の社員として働いていた新海誠監督。最初からアニメーターをやっていたわけではなく、仕事が終わった後に自主制作でアニメを作っていたそうです。
その頃に培った技術で、コンピューターとソフトウェアを駆使して作られた映像はまるで実写のようで、アニメには見えません。気づけばその美しい描写に圧倒され、映画にのめり込んでしまいます。
スタッフが実際の場所をロケハンし、写真を元に作品に落とし込んでいるため、細部まで描写がとてもしっかりしているのも特徴の1つです。見慣れた風景が事細かに描かれている映像は、まるで自分が映画の中にいるかのような錯覚になります。
そのため、作品に登場する場所を聖地巡礼として訪れるファンも多数いるくらいです。
ストーリー展開の幅広さ
新海誠作品のストーリーの特徴として挙げられるのが、基本的に男女の物語が軸となっていることです。
その内容は、男女の恋愛ストーリーからファンタジー要素を含んだものまで幅広く、これもまた新海誠作品の見どころの一つとなっています。
「雲のむこう、約束の場所」などのSF要素のものから、文学性の高い作品である「言の葉の庭」まで、監督の才能の高さをうかがわせます。
新海監督は大学では国文学専攻だったとのことで、万葉集については基礎として学んだことがあり、この「言の葉の庭」はその万葉集から構想を得たそうです。
詩的で静かで落ち着いた作品が多く、また少し難解な設定のものもあったりと、どちらかというと大人向きのアニメが多いといえるかもしれません。
切ない恋愛物語で男性が共感できるものが多数あるのも、監督ならではの特徴かもしれません。
ですが、監督の名を世界に広めたといっても過言ではない大ヒット作「君の名は」は、大人から子どもまで楽しめるものとなっています。
『雲のむこう、約束の場所』のあらすじ
©Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
2004年公開の「雲のむこう、約束の場所」は全編91分の、新海誠監督初となる長編アニメ作品です。
監督自らが原作・脚本・監督や美術までも出がけているのは前作と変わらないのですが、こちらは初の分業制でスタッフを雇って作っている作品でもあります。
日本が北海道と青森で分断された、戦後のもう1つの世界が舞台となるこの作品。
主人公のヒロキ、タクヤとクラスメートであるサユリが主な登場人物です。
ヒロキたちは青森で米軍統治下のもと生活しており、ユニオン統治下であるエゾ(北海道がここではそう呼ばれます。)に憧れています。また、エゾにあるユニオンの塔にも憧れがあるヒロキは秘密裏で飛行機ヴェラシーラを作って津軽海峡を越える計画をします。
勝手に国境を越えることは犯罪行為になるのですが、タクヤが口を滑らせたことによりクラスメートのサユリに知られてしまいます。ですが、サユリもこの計画に協力的になってくれますが、ある日、塔の夢を見たサユリが彼らの前から突然姿を消してしまうのです。
簡単なあらすじからも分かるように、SF要素がふんだんに含まれており、ヴェラーシラなどの専門用語も多数出てくるため、一度見ただけでは分からないといった感想も多く、少し難解な作品としても有名です。
ですが、この映画もまた監督の特徴である美しい描写が特徴的で、見始めるとすぐにのめり込んでしまうこと間違いなしです。
また、声優陣に「北の国から」や「DRコトー診療所」の吉岡秀隆、実力派俳優として知られる萩原聖人が参加しています。
『秒速5センチメートル』のあらすじ
© Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
2007年公開の「秒速5センチメートル」は短編アニメ3編からなる作品となっています。
3編を通しての主人公は貴樹という人物です。
彼が小学生の頃の初恋の話が「桜花抄」であり、次に貴樹に恋をしている花苗を通してストーリーが展開していく「コスモナウト」。
そして最後に大人になった貴樹とある女性を描いた「秒速5センチメートル」という構成です。彼が大人になるまで一貫して思い続ける明里も重要な登場人物の1人となっています。
この「秒速5センチメートル」も新海監督の特徴であるとても美しい映像を堪能できます。貴樹が明里に会いに電車を乗り継いでいくシーンの新宿駅などの細かさは、まるで自分も映画の中に入り込んでいる感覚に陥ります。
貴樹のナレーションで進んでいく「桜花抄」は静かな語り口と、雪の中を電車で会いにいく彼の心情の描写が相まって切ないと同時に、この先何が起こるのかと私たちの心をグッと掴みます。
この作品は、男性が共感できる恋愛アニメとしても評価が高く、もちろん男性だけではなく女性も切ない男女の物語に胸が締め付けられるのではないでしょうか。
ちなみに、秒速5センチメートルとは桜の花びらが落ちるスピードのことだそうで、この映画のキャッチコピーも「どのくらいの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」となっています。
まとめ!
今回が見どころの一部のみをご紹介しましたが、新海誠監督の作品には他にも魅力がたくさん詰まっています。
「君の名は」以外にも、文学性のある作品などを多々リリースしている新海誠監督。
一度見ると一気に作品の虜になってしまうのも納得です。新作公開前に予習として初期の2本を見てみるのもいいかもしれませんね。