今回はAmazonプライム・ビデオ、Huluにて配信中の歴史的大傑作「宇宙よりも遠い場所」を全力でオススメして行きます!
本コラムを通じて一人でも多くの人に本作を見て頂けたら幸いです!
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「宇宙よりも遠い場所」ってどんなアニメ?
まずは今回のテーマとなる作品「宇宙(そら)よりも遠い場所」(以下、よりもい)の概要をザックリとご紹介。
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女子高生が南極に!?「よりもい」あらすじ
何か大きな事をやってみたい。
そんな漠然とした夢を持ちながらも、気付いたら高校二年生を迎えてしまった女子高生、玉木マリ(以下、キマリ)。
今年こそは!そう意気込んでは見たものの、中々最初の一歩を踏み出す事が出来ない。
そんな中、同じ学校に通う女性生徒と駅で偶然遭遇するキマリ。
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女子生徒がその場に落としていった茶封筒を拾いあげると、中身はなんと百万円分の現金!大慌てで持ち主を探すキマリ。
ようやく見つけ出した持ち主の女子生徒、小渕沢白瀬(以下、白瀬)。彼女はある目的の為、バイト漬けの毎日を送って百万円を貯めたのだという。そのある目的とは、「南極観測隊のメンバーになる」ことだった。
白瀬の大きすぎる目標を聞き、自身の青春も動かしたいと感じたキマリは、白瀬と共に南極へ行くことを決意。しかし、南極観測隊員になるには数多のハードルが待ち構えていて・・・。
集い出す仲間たち。いざ南極へ!
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南極へ行く。
そう決めてはみたものの、どうすれば南極へ行けるのか。自身のプランに絶対の自信を持つ白瀬と、懐疑的なキマリ。
二人は衝突しあいながらも出来ることから準備を進めていく。そんな中、キマリは資金調達の為に始めたバイト先のコンビニで、”ある理由”から高校を中退した少女、三宅日向(以下、日向)と知り合う。彼女もまた、二人の南極行きに賛同し参加を希望するのだった。
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その後も、タレントとして人気を博してはいるが、多忙の為、友達が出来ず孤独を抱えている少女、白石結月(以下、結月)を仲間に迎え、四人となる南極少女達。
紆余曲折を経て、観測隊のメンバーに加わる事が出来た四人だが、待ち受けるのは厳しい訓練と、南極での過酷すぎる生活だった・・・。
「よりもい」はここに注目!おススメポイントをご紹介!
ここからは「よりもい」をより深く知っていただく為に、本作の魅力をギュッと詰め込んでご紹介します!
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ここではない何処かへ。なぜ青春は外へ向かうのか。
本作の主人公、キマリはどこにでも居るいたって平凡な女の子。
特筆すべき特技も才能もない彼女ですが、若者らしく退屈な日々に漠然とした焦燥感を感じています。
このまま流されるように大人になって行くのだろうか?このままでいいのだろうか?という不安、みなさんも中高生時代には感じた事があるのではないでしょうか?
10代とは、知恵と経験が付き、心理的にも発達を遂げる時期です。
自意識が強く働き、自分の意義や意味についてを考え始めます。
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アニメでは「新世紀エヴァンゲリオン」などがその不安定な精神を顕著に描いて居ましたが、青春ドラマとは常に、そうした不安定な自己を描く事でしかドラマを語る事が出来ない難しいジャンルです。
例えば、10代の少年少女を主人公にしているにも関わらず、「ルパン三世」のように飄々と、「ゴルゴ13」のように冷静かつ毅然としたキャラクターのドラマを描く事が出来るでしょうか?不可能だろうと私は思います。
若い内から成熟している人も現実には少なからず存在するでしょうが、大多数の子供たちは若さ故の不安定さ、未熟さを抱えながら、他人や世界と向き合っています。だからこそ、青春を描く物語には鬱屈がなくてはならない重要な要素となるのです。
も、まだ子供らしい未成熟な部分も残している。
そんなアンビバレントな状態は、自分の存在をどこか浮いていて、意味の定まらないもののように感じさせるのです。
そうした自己存在への浮遊感を人はどうやって克服すれば良いのか。
その答えは簡単で、自発的な行動によって居場所や経験を勝ち取る事。これが、自分という存在を確固たるものにする唯一の方法なのです。
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多くの子供たちは親によって生み出され、庇護されて育ちますが、この過程には、自分で何かを得るという経験が著しく欠如しています。そんな日々を10数年続けたら、「自分ってなんなんだろう?」という不安を感じるのも無理からぬ事。
友情や恋愛、部活や勉強に熱意を持って全力で取り組む。そうした活動の一つ一つによって、自分の行動が結果という形で世界に反映される。それを確認する事で初めて、自己存在に確実性を見出す事が出来るのですね。
キマリもそうした10代の一人。
親や友人に促されるがままに行動し、ただなんとなく生きてきた女の子です。
そんな彼女が初めて出会う、自らの意思で人生を切り開いて行く人物。それこそが白瀬だったのです。
”ここではない何処か”を、与えられた場所ではない、自ら選んだ場所へと踏み出そうとする白瀬の姿に、キマリの溜め込んでいた心の澱みが決壊する。
溜めに溜めた青春のエネルギーは濁流となって流れ出し、もはや誰にも止める事は出来ません。
南極へ行く。初めて抱いた大きな目標の為ならば、如何なるハードルにも立ち向かっていく。その姿には、”生きる”という事の本質的な意味が宿っているのです。
「ただ生きている」のではなく、行動し世界と向き合うことこそが「生きる」という事なのだと、本作は全編を通して語りかけてくるのです。
本当の友情。なぜ青春は衝突するのか。
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突然ですが、友達ってなんでしょうか?
趣味の合う知り合い?昔からの馴染み?居場所の為のかすがい?
人間が他人との交流を図る意味。その多くは損得勘定です。共同体の中で生活して行く上で、互いをバックアップしたり、孤立を防いだりする為に表面的な繋がりを保つ。皆さんにもそうした人間関係には覚えがあると思います。
ですが、それって本当の友情と呼んでいいものなのでしょうか?
「よりもい」の作中で登場するキャラクター達にも沢山の相関関係が存在します。
それこそ、腐れ縁の幼馴染や、部活を同じくした相手など様々です。
ですが、キマリや白瀬といった南極を目指す仲間たちの関係はハッキリ言ってしまえば不鮮明な繋がりです。
クラスが違ったり、学校が違ったり、境遇も置かれている立場もそれぞれ違う。趣味が会うわけでもない、知り合いでなくても生活に支障がない。互いにとって本来は得にも損にもなりえない筈の彼女達。
そんな彼女達がなぜ、一同に会して共に南極へ向かうのか。
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ここにこそ、本作の最大の魅力、「友情」の本質が垣間見えるのです。
先述したように、本作のメインとなる四人の少女達には一見すると何の関連性もありません。
ただ、野心に共鳴し、孤独に共感し、共通の不安を持ち、共に同じ場所を目指しただけの四人です。
ですが、彼女達は互いに心根を覗き合い、過去を明かし合って、衝突をしても尚、離れる事なく友であり続けます。
本来なら知り合う事すらなかった筈の彼女達がなぜ、それほどまでに強い絆を築く事が出来たのか。
それは、志を共にした仲間だからです。
馴れ合いでも、上辺だけの利害関係でもなく、同じ方向を見ているだけの間柄だからこそ、遠慮も甘えもない剥き出しの心でぶつかる事が出来る。
大人や社会に用意された枠組みの外で、自分たちの意思一つで引き寄せ合った偶然の縁だからこそ、そこには何物にも代え難い本物の友情があるのです。
一緒にいなくても良かった。知り合わなくても良かった筈の間柄。意味なんてなかったとしても、それでも一緒に居たいと願える友達。
人生の中でそうした友達と出会える事なんて、奇跡に近い確率です。そして、そんな出会いは自分の意思と情熱で歩んだ道の先にしか待っていない。
本当の気持ちで人生に向き合う事で初めて、本当に心から通じ合える仲間を得る事が出来る。言ってしまえば、衝突しあえる友とは青春の最中にしか出会えないものなのです。
これを呼んでいる貴方が今、孤独を感じているのなら、本作を見て同じように青春してみましょう。その先にはきっと、素敵な仲間との出会いが待っている筈です。
宇宙よりも遠い場所 配信先一覧
宇宙よりも遠い居場所 まとめ
ここまで書いてきた事は「よりもい」の数多くある魅力の一側面でしかありません。
南極観測に向かう隊員達は何を思い、極限環境の最果てを目指しているのか?
南極で暮らすという事、その現実。
亡き母の足跡を追う娘。
などなど、到底語りきれない程、幾つもの物語が描かれています。たったの1クール、全13話でこれらのテーマを語り切る本作の完成度は数多くの青春ドラマの中でも頭一つ抜けていると、私は思います。
人生に迷っている人や、新しい刺激を求めている人。どこかに旅へ出たいと思っている人にこそ、本作を見て欲しいと思います。きっと、新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれる筈。!
(2019年6月現在の情報です。詳しい情報は公式サイトでご確認ください。)
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